第4章 15話 ゆん菜の護衛③

 聖女殿から王城へは、石畳の道でつながっている。


 少し歩いたところで、王城のほうが騒がしくなるのを聞いた。


 周りにいた聖女たちが、きゃあきゃあと騒ぎ出す。彼女たちは頬を染め、うっとりとしている。


「ミシュアーナさま……」


 カナルは目を輝かせ、王城のほうを見つめていた。


 王城の前の道を、ゆっくりと馬で進む一団がいる。真ん中にいる人物の月色の髪が風に揺れている。


 朝、会ったばかりなのに、ゆん菜の胸は締めつけられた。


 優夜先輩……っ。


 心の中で強く名を呼んだ。


「ミシュアーナさま、素敵ねー」

「ほんと、なんて美しいのかしら」


「あの月色の髪に、優しい微笑み……」


 聖女たちはが辺りの空気を変える。桃色の風が流れているようだ。花が開くように色づいていく。


 ささやきは小鳥のようにかわいい。


「ねえ、話しかけたら」


「あなたが行きなさいよ」


「わたしじゃだめよ。あなたは宮廷聖女だから、話しやすいでしょ」


「私も無理無理。心臓が止まるわ」


 優夜たちが近づいてきたところで、カナルは姿勢を正し、頭を下げた。


 聖女たちは整列して片足を引き、お辞儀をする。

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