第4章 14話 ゆん菜の護衛②
「それに、ゆくゆくはお、お、王太子妃さまになるんですしね」
王太子妃という名にカナルは言葉をつまらせる。いつも緊張して、うまくいえなくなるそうだ。
彼にとってはそれくらい尊いものらしい。
王太子妃なんて……。
ゆん菜も緊張してしまう。優夜と一緒にいるということはそういうことだ。でも話が大きすぎて、目眩がしてくる。
「今日はどうしましょうか、マリーユナさま。なにかしたいことはありますか」
王太子妃という言葉は、まだ頭の中でぐるぐる回っている。ゆん菜は返事ができない。
カナルも困ったように黙り込む。
「で、では、王城内の庭園はどうでしょう。野の花がたくさん咲く美しい場所なんですよ。綿毛が舞って、風毛獣が放し飼いになってます」
「風毛獣?」
「綿毛みたいな動物です。毛糸玉サイズの綿毛にしっぽが生えている感じの姿で、風に乗って飛ぶことができるんですよ」
「見たいですっ」
「では行きましょう。……マリーユナさまは王城が苦手だと聞いていますが、少しでもいいイメージを持ってもらいたいんです」
「ありがとうございます」
カナルのいう通りだ。いつまでも王城が怖いではいられない。
ゆん菜は笑顔で彼の後を着いていった。
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