第4章 13話 ゆん菜の護衛①

「マリーユナさま」


 しばらくすると声がし、カナルが聖女殿から出てきた。


 無垢な笑顔で頭を下げる。


 きらきらの金髪がきれいだ。カナルはまだ十五歳で、ゆん菜より年下だ。

 だが、大人並みに武術に優れている。医学生で、特に治癒の技ではトップクラスだ。


 王立の学校で学んでいたが、今は聖女殿の医療所に研修に来ている。


 なるべくゆん菜の近くにいるためだ。


「お待たせしました。マリーユナさま」


 カナルは王族に対するのと同じ態度をゆん菜に取る。ゆん菜はかなり戸惑ってしまう。


「あの、わたしは王族じゃないし、その『さま』っていうのは……」


「いいえ、あなたさまはミシュアーナさまの大事な方ですから」


 カナルは満面の笑みになる。


「呼び捨てなんてとんでもないですっ。大事に大事にさせてくださいっ」


 カナルはゆん菜の世話がうれしくて仕方ないらしい。


 今までは優夜と関わりはなかったが、ゆん菜のおかげで、優夜の従者になれたというのだ。

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