第4章 6話 優夜の離宮へ③

 異世界の庭はみな、野原のようだ。


 自然に近い造りで、植物たちは幸せそうだ。 綿毛の花が多い。ふわんふわんと踊っていた。


 霊石の星の光が降ってくる。


  張っていた気が緩んでいく。眠くなってきた。 優夜はクスリとわらい、庭園の隅のベンチに連れて行ってくれた。


 赤、青、鮮やかな花が良く見えた。 ふわふわ綿毛が舞う中、優夜にもたれて眠った。


 いくつもいくつも、綿毛が通り過ぎていく夢を見た。


 ……ねえ、優夜先輩。味方を増やすって、どうしたらいいの?


 ……俺の家族、……王族の誰かを味方にすると、周りの貴族たちもついてくるかな。それが一番難しいんだけどね。


 ……みんな厳しい人?


 ……父上はきつい人だけど。他は優しいよ。でも、召喚者のことは難しいんだ。


 夢うつつで、優夜とそんな話し合いをした。


 優夜先輩は、本当に王子さまなんだ。


 ゆん菜はやっと、実感できた。夢の中の王子姿の優夜は輝いていた。


 夢のせいか、優夜の向こう側には白い霧のようなものが流れているだけだ。


 ゆん菜に気づいた優夜は、お辞儀をして手を差し出してくる。


 ゆん菜は優夜の手に、自分の手を乗せた。


 ふわっと体が浮いた。

 優夜は手を強く握って支えてくれる。


 ゆん菜の気持ちもふわふわ揺れる。地面に足はついているのに、空を飛んでいる感覚だ。


 ふしぎな、ふわふわした夢の中だった。

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