第3章 31話 月のとばりが下りる夜①

「いいよ、だいじょうぶ。お城で暮らすよ」


 だ、だいじょ……。だいじょうぶ。


 メイメイが袋から出てきて、背中をさすった。


 守護契約は解けたはずなのに、メイメイは変わらない。


 契約がなくても、一緒にいてくれるようだ。


「無理しないでいいよ、ゆん菜」


「だいじょうぶ、がんばろう。召喚者に生存権っていいよね。わたしも欲しいよ」


「ゆん菜、無理しないでいいから」 


「優夜先輩の苦労、背負うよ。せ、せ、背負うから」


 優夜の目に、涙が浮かぶ。彼は目を閉じ、ゆん菜にもたれかかった。


 ずっと、そうしていた。


「あ……」


 優夜が目を細め、空を見あげた。


「ゆん菜、月光のとばりが下りてきたよ」


「月の光のとばり?」


「この世界の自然現象だよ」


 ゆん菜は目を見張った。

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