第3章 21話 ハルヴィンの怒り④

 ゆん菜もあわてて霊力を腕輪に当てる。


 あれ、と思う。


 霊石の転移が発動しなかったからだ。


 もう一度、当てても同じだった。


 腕輪を外して、直接、霊力を注ぐ。やはりなにも起こらなかった。


「腕輪の霊石は封じてあるよ」


 冷たい声が降る。ハルヴィンが目の前に立っていた。


「捕縛のときに、腕に硬い物がはめてあるのを感じたんです。腕輪だろうと思いました。なぜ、せっかくの飾りを、隠すようにはめているのかふしぎに思ったんです」


「うちのラヴィエは有能だろ?」


 いつの間には、ゆん菜の背後にいたラヴィエがいた。またサークレットをかぶせようとしていた。


 ゆん菜は身を翻して走りだした。


「またかよ、ばか女っ。オレは忙しいっていってるだろっ」


 ハルヴィンはゆん菜にサークレットを投げつけた。

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