第3章 20話 ハルヴィンの怒り③

「ユナ、だめよ」


 エスミナがゆん菜の手を握り、背中にさする。


 シャルアが上着を脱いで、ゆん菜の両手に被せる。ぎゅっとゆん菜の両手を押さえ込んだ。


 光は遮られて弱まる。


 だが、ゆん菜の霊力はどんどん強くなり、輝きが増した。


 ハルヴィンたちが霊力の明かりに気づいた。


 剣の柄に手をかけて近づいてくる。


 震えで、心が押しつぶされそうだった。


 霊力は抑えようとしているのに、あふれてくる。

 腕が勝手に動いた。


 ゆん菜はハルヴィン目掛けて、攻撃の霊力を放っていた。


 流れ星のような光の線が、ハルヴィンに向かう。


 ハルヴィンはすばやく手のひらに霊力を込め、ゆん菜の力を受け止める。


 勢いに押されて、馬から落ちる。木に後頭部をぶつけた。


「逃げるっ。先に行くぞ」


 シャルアが低くつぶやいた。


 ユナも一緒に、というエスミナを無視し、彼は霊力を放つ。


 足元に光の輪ができて、二人はその中に消えていった。

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