第3章 18話 ハルヴィンの怒り①

 ハルヴィンは苛立ったように、左右の森に霊力の波を放ちまくっている。


「なんで、ずっと黙っているんだよ、ラヴィエ」


 ハルヴィンの後ろにはラヴィエがいた。


「冷静にって諌めないのか?」


「今の主さまにはできません。逆鱗に触れますから」


「なにかいえよ」


 はいはいと、ラヴィエは目を閉じた。


「それで、逃げた召喚者は波に引っかかりましたか?」


「いないよ。なにも捉えない」


 逃げた召喚者。やっぱりわたしのこと?


 ゆん菜は体を震わせた。


 ハルヴィンの腕に、ゆん菜にはめられていたサークレットがかかっていたからだ。


 サークレットを見つけたから、ゆん菜が逃げたことが分かった。


 だから激怒している。


 鼓動が早くなる。


 メイメイッ。

 無意識に助けを、呼ぶが、メイメイはどこにもいない。

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