第3章 10話 幻青族④

「仲間って、エスミナは召喚者なの?」


「わたしは召喚二世。わたしのママが召喚者なのよ」


 頭がぼうっとなった。呆けてしまって、ゆん菜は動くことができない。


 無理に声を出そうとしたら、むせかえってしまった。


「罠を教えてくれたのも、召喚者仲間?」


「うん。遠くから強い霊力で、罠を見張ってくれている人がいるのよ。それでね、シャルアと見にきたの」


「シャルア?」


「彼よ」


 エスミナは後ろの木陰を示す。


 ゆん菜はびくっと体を揺らした。


 全然気配がしないので分からなかったが、人がいた。


 シルバーアッシュの髪の少年が木に寄りかかっていた。


 きつい瞳をした少年だ。


 その目はたまにすばやく動き、周りの様子を探っているようだ。


 警戒を解かない野生動物のように、ぴりぴりした雰囲気が伝わってきた。

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