第3章 9話 幻青族③

「……泣くのは当たり前だよね。ごめんね」


 ふいに、エスミナの口調が変わる。ゆん菜はぼんやりした。


 エスミナは表情を引き締め、まっすぐゆん菜を見ていた。

 いつもの無邪気な瞳ではなかった。


「ごめんってどういう意味?」


「知らないふりをして、ごめんねなの。あのね……」


 彼女は一度、言葉を止める。


「あのね、わたしだいたい予想がついてるよ。今日、この森でユナに起きたこと」


「な、なんで……」


「だって、わたし知ってたから……」


「知ってた? なにを?」


 ゆん菜の鼓動は早くなる。


「……ユナが召喚者だってこと。だからなにかあったのかもって思ったの。……誰かが罠にかかったって話も聞いて。わたし、助けにきたのよ」


 知ってた……。


 知ってた?!


「森にある召喚者の罠が作動したって、教えてくれた人がいたのよ。帰ってこないユナのことが思い浮かんでユナかもって思ったの」


「教えてくれた人って」


「召喚者仲間の人よ。この国にはね、こっそりと暮らしている召喚者たち集まりがあるの」


 次々と紡がれるエスミナの言葉に頭の中が真っ白になった。

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