第3章 8話 幻青族②

 ぼんやりするゆん菜に構わず。エスミナはゆん菜の肩に手を当てる。


 確かめるように、何度もさすった。


「探したよー、ユナ。教会のお使いから、全然もどって来ないんだからっ。シスターも神父さまも心配して探してたのよ」


 エスミナは泣きだしそうな顔をしていた。


 森の中を、本当に長い間歩いたのだろう。

 いつもきれいに編んである彼女の髪は乱れ、片方はほどけていた。


「エスミナ……」


 体の力が抜ける。涙があふれた。


「だ、だいじょうぶ? ユナ」


 エスミナはゆん菜の体を支えてくれる。


「神父さまたちは町まで行ったけど、わたしはここに来たの。もしかしたら、森で迷子になってるかもしれないって」


「エスミナッ」

 涙がぽろぽろこぼれた。


「怖かったよね。もうだいじょうぶだよ。やっぱり迷っていたの?」


 ゆん菜は答えに迷う。


 今までのことを、どう話したらいいんだろう。自分が召喚者だということをエスミナは知らない。

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