第3章 11話 幻青族⑤

「彼は召喚者仲間の一人なの。ゆん菜と同じで、罠にかかっていたの。行き場がないから、うちで預かることにしたのよ」


 わたしを心配して一緒に来てくれたのと、エスミナはうつむいて微笑む。


 見たことがないようないい笑顔だった。


 エスミナは彼が好きなんだと思った。シャルアも応えるように、優しく目を細めた。


「でも、さすがユナだね」


 エスミナはにっこりする。


「自分で罠を抜け出すなんて。わたしが助けたかったんだけどな」


「あれは、わたしじゃないよ」


 ゆん菜は首を振った。


「どこからか、ナイフが飛んできて。それで檻は壊れて消えたの」


「えっ」


 エスミナは顔を強張らせた。


「ナイフ……? うそでしょ」


 エスミナの言葉に、シャルアは身を起こす。近くの大木の枝に跳躍した。


 辺りをすばやく見回すと、また別の木に飛び移った。そんなことを繰り返す。


 やがてもどってくると、首を振った。


「誰もいないって。きっとだいじょうぶ。でも心配たがら、早く森を出よう」


 エスミナたち村への坂道を下り始めた。

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