第3章 4話 夜闇の森で④

 落ちていたのは銀色の細身のナイフがだった。


 ナイフはかすかな淡黄色の光を放っている。ムーナサリア人の霊力の色だ。


 霊力で強化されたナイフのようだった。


 また、なにかが格子にぶつかる。派手な音をたて、何本もナイフが地面に散らばった。


 檻の金の霊力で弾かれたからだ。


 ナイフは、今度はゆん菜は目がけて飛んでく、る。

 ゆん菜は悲鳴をあげてうずくまった。


 誰?


 真っ暗でなにも見えない。人の気配がしないのにナイフだけが姿を現す。


 ひゅんひゅんと、空気を裂いた。


 やがて、檻の霊石を砕いた。


 檻と糸は霧のようにかすんで消えた。


 すぐに、別のナイフがゆん菜めがけて飛んでくる。ゆん菜の髪をかすめ、髪が一房散らばった。


 一本、二本と次のナイフが続いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る