第三章 月のとばりが下りる夜

第3章 1話 夜闇の森で①

 夜の闇が森に落ちてきた。

 辺りはだんだんと肌寒くなってくる。


 鳥の声は消え、虫の声が響く。


 ゆん菜は気を集中させて、霊力を放とうとする


 だが、ほんの少しの力も現れなかった。ラヴィエのサークレットは霊力を完全に封じている。


 しかも、頭から外そうとしても外れない。


 ロープは消してもられたが、右手首を縛っている糸はそのままだ。皮膚に食い込んで痛い。


 ゆん菜は光の柵の前に立つ。だが、格子に触れようとすると、熱を持った輝きが増して弾き返される。


 格子を広げるかなにかすれば逃げられるかもしれないが、確かめることもできない。


 光の檻は金に近い色で、夜闇にはまぶしすぎる。目が痛くなってきた。


 柵は細く、装飾が施されている。美しく輝いていた。


 森の木々の上に大きな月が登っていた。


 月を見ると、優夜が思い出される。優しい手が恋しかった。


 涙が止まらなくなってきた。

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