第2章 27話 召喚者への罠①

「お前、あの実を持っていくか?」


 ふいに、ハルヴィンは優しげにゆん菜を見た。


「罰を受ける奴への温情だよ」


「……いらないです」


 急にいわれても、素直になれない。


「そういうなよ。生き延びることができるかもしれないぞ」


 ハルヴィンは、なぜかにこにこしている。ラヴィエに目で合図すると、ゆん菜を縛っていた光のロープは消えた。


 生き延びる……。


 そんなわけないと思いながら、優夜の顔が頭に浮かぶ。ゆん菜は涙を拭いて木の下に立った。


 実に手を伸ばす。


 だが、果実に触れたとき、手がなにかに引っ張られた。


 糸のような物が手に巻き付いていた。霊力でできた糸のようだ。


 続いて、シャランという音がする。なにもなかった空間に、光の棒が現れた。


 棒はまぶしく輝いて、光の粒を放っている。シャラシャラとぶつかりながら、ゆん菜を囲んだ。


 ゆん菜は光の檻に閉じ込められていた。

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