第2章 26話 召喚者の詩曲④

「なにか、すごく悪いことをしたんじゃないんですか?」


「悪事ではないよ。召喚者は普通の生活水準で、真面目に生きただけだ。でも才能がムーナサリア人の生活を脅かしたんだよ」


 ますます、意味が分からない。


 まばたきも忘れていた。目が痛くなってくる。

瞼を閉じて、ついでに頭を振った。


 ゆん菜を見ていたラヴィエは息をつく。


「彼女、呆けちゃいましたよ。当事者は納得いきませんよね」


「まあ、仕方ないだろ。多数決なんてそんなものだよ。そして、オレたち王族は国民の意志を尊重しないといけない」


 多数決。


 そんな小さなな理由で、この扱い?


 それに、元々召喚者を呼んだのは、ムーナサリア人だっていってた。


 詩曲のブームが起きたからって。


 自分たちで呼んで、いらなくなったら排除?


 ハルヴィンは急に脇道に反れる。そこは登り坂になっていた。


 進むにつれて道が細くなる。やがて、周りに果樹が並ぶ場所に出た。


 ムーナサリア国の森には、本当に果樹が多い。


 野生だが、国が管理している。国民は好きなときに採ることができる。

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