第2章 25話 召喚者の詩曲③

「それに強い霊力と知力です。自分たちより優れているから、不安と嫉妬が起きました」


「嫉妬……?」


「実際、召喚者たちは栄えていき、逆にムーナサリア人は衰退していったからな。それで王族はそれを止める法を整備したんだよ」


「この国の法律を作るのはムーナサリア人です。外来族はなんの権利もありません。排除される結果になりました」


 ラヴィエはかすかに目を伏せた。


「法律?」


「召喚者は法律作りに参加できないから、守られないってこと」


「え?」


 聞き間違いかと、ゆん菜は問い返す。


 ますます話についていけないが、召喚者が栄えただけで迫害されていると聞こえる。


 召喚者は問答無用で追放なのだ。もっと大きな理由があると思っていた。


 ゆん菜は口を半開きにして、ずっとぼんやりとしていた。


 ラヴィエが戸惑ったように、ゆん菜を覗く。気まずい顔をして肩を揺すった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る