第2章 21話 第二王子ハルヴィン⑥

「本当に凶暴だな」


「……るっ」


「る?」


「わたし、帰るっ。家に帰りたい。帰らせてっ」


 ハルヴィンは耳を塞ぎ、ゆん菜を睨みつけた。


「何度も同じこと、うるさいよ」


「メイメイを返してよっ」


 メイメイはあれから、目を覚まさなかった。


 ラヴィエによって、そのまま町に連れて行かれた。馬と一緒に町に預けられたらしい。


 守護獣に罪はない。


 契約を解いた後、野に返すとハルヴィンは話していた。


 ラヴィエが町からもどってくると、ハルヴィンたちは森の奥に向かった。


 森の奥の目的地は、馬が通れない道があるそうだ。


 ハルヴィンはゆん菜を捕縛して、森を歩き続けている。


 どこに向かっているのか、なにが目的なのか。

 彼らは教えてくれない。不安で不安で涙が止まらなかった。

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