第2章 19話 第二王子ハルヴィン④

 ゆん菜は森の中を歩いていた。


 道がだんだん細くなる。ハルヴィンはゆん菜を縛った光のロープを引き、森の奥へと進んで行くのだ。


 怖くて、何度も震えが走る。気絶してしまいそうだ。


 小径の先で、木から木へと鳥が横切った。


 ハルヴィンが見上げる。


 チャンスと、ゆん菜は思った。ハルヴィンの目がゆん菜から離れたからだ。


 まぶたを閉じて深呼吸する。目眩がするほどの恐怖をなんとか押し返した。


 まず、身をねじった。ステップを踏むように足を運び、ハルヴィンの足の甲を、えいと踏んづけた。


 彼の手から、ロープが離れる。ゆん菜を縛っていたロープの端だ。


 その瞬間、ゆん菜は走り出した。


 道を外れ、木々の間を進む。


 前方に大木があった。目眩ましになりそうだ。ゆん菜は大木の向こう側に回る。


 そのまま茂みに潜り込んだ。

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