第2章 14話 ダークブラウンの髪の少年⑤

「また、あなたは……」


 ラヴィエがため息をついた。


「むやみに女性に近づかないでください。また評判が落ちますよ」


「ねえ、小鳥ちゃん。この森には女の子に人気の花が咲く大木があるんだよ。見に行ってみる?」


 深い色の瞳でゆん菜を見つめる。


 まるでヒョウのようだった。


 アレルギー反応で鳥肌が立つ。ゆん菜は早足で通り過ぎようとした。


「あれ、逃げるの? 顔が赤いよ。かわいいなあ」


「いつもいつも、ふざけないでください」


「それだけ、かわいいってことだよ。……ああ、艷美なラヴィエさんにはない魅力だもんな。嫉妬か?」


 彼はゆん菜の腕をつかんで、顔を覗き込む。


 ゆん菜の顔はきゅーっと熱くなり、湯気を吹く。


 気がつくと、ゆん菜は彼をつき飛ばしていた。 

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