第2章 13話 ダークブラウンの髪の少年④

 なんか、すごい……。


 ゆん菜は彼に見入る。


 刃物を振り回す人なんて始めてだ。


 ゆん菜の元の世界では考えられない。柔刀法違反? だっけ。

 柔剣道法違反で逮捕だ。


 二人は完全に道を塞いでいる。脇を抜ける隙間もなさそうだ。


 だが、他に道はない。ゆん菜は仕方なく、足を進めた。


「ほら、人が来ましたよ。一旦やめてください」


 夢中になってきて気づかなかったらしい彼は、ゆん菜を見て困ったようにわらった。


「ああ、ごめんね。お嬢さん」


 姿勢を正し、にっこりとする。今気がついたが、渋くていい声をしている。

 ますます大人びて見えた。


「お嬢さん、かわいいね。例えるなら小鳥かな。小鳥ちゃん、どこに行くの?」


 ……。


 ゆん菜は目を合わせないようにした。


 アレルギー反応が起こる。派手な相手は苦手だ。

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