第2章 12話 ダークブラウンの髪の少年③

「剣でストレス解消も、いいことではないですよ」


 少女は目を細め、呆れたように彼を見る。


 視線を受けた少年は、眉を寄せる。負けないといいたげに、少女を睨み返した。


 二人はずっと睨みあっていた。


 そんな風にしていても、彼らはなんだか人目を引く。華やかで、並ぶと更に映えるのだ。


 ダークブラウンの髪の彼に対して、少女はショコラブラウンだ。大人びていて、二人は雰囲気も似ている。

 二人は主従関係で、恋人同士ではないと分かっている。それでもペアという言葉がぴったりだった。


「ストレス解消じゃない。努力だよ、ラヴィエ」


「はい?」


 少女はラヴィエという名前らしい。


「今日もひどい始まりだったじゃないか。わるい一日をいい日にするには、努力を捧げることだ」


「まあ、努力はいいことですよね」


「わるいな。もう少し」


 彼はまた素振りを始めた。いつまでもやめる気配がない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る