第2章 11話 ダークブラウンの髪の少年②

 少年はダークブラウンの長い髪をきれいにまとめている。

 歳は優夜と同じくらいだ。


「いらいらする、いらいらするっ。なんでミシュアーナがあんな目に合わないといけないんだ」


 少年は持っていた手袋を地面に投げつける。

 

 また王子のファンなんだ……。

 ゆん菜の胃は痛くなってきた。


 ファンが二組続くなんて、本当に人気だ。関心してしまう。


 でも、ゆん菜にとってはただの暴君だ。


「だいたい、ミシュアーナはなんでいないんだよ。この森に来たはすなのに」


 ゆん菜は目をむいた。

 ダークブラウンの彼は剣を抜いて素振りを始めたからだ。


 彼は馬に乗っている。馬上で剣を振り回していた。


「いい加減、機嫌を直しませんか? 主君」


 少女がため息をつく。

 こっちは優夜より年上のようだ。


 年上なのに、もう一人に敬語を使っている。主君と呼んでいたから、彼女は従者なのだろう。


 華やかな、すごくきれいな人だった。長い髪をアップにして、赤い石の髪留めで留めている。

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