第2章 10話 ダークブラウンの髪の少年①

 ゆん菜は軽い足取りで、道を進んでいく。


 天敵がいなくなった森は素晴らしい。手足を伸び伸びと動かせる。ゆん菜はステップを踏み、くるっと一回転した。


 両腕も回して、また歩きだした。


 メイメイはゆん菜の肩に乗っている。ゆん菜と視線を合わせると、メイメイもにこにこわらう。


 森の終わりに近づくと、辺りには果物が成る木が目立つようになった。


 ムーナサリアでは、国がたくさんの果樹を育てている。国民は自由に果物を採ることができる。


 黄色に赤、オレンジ色。色とりどりの実が森を華やかにしている。蜜柑やりんごに似た果実だ。


 見ていると明るい気持ちになる。


 にこにこと果実を眺めていたゆん菜は、ぴたっと足を止めた。


 前方に人がいたからだ。


 若い男女だった。着ているものが上等だ。ゆん菜たちの村ではなく、町か都の人間だろう。


 立ち居振る舞いがきれいだ。華やかな印象だった。


「あー、いらいらする」


 二人のうち、若いほうの少年が忌々しげに天を仰いだ。

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