第2章 7話 村人の噂話①
交差する枝葉に潜り込み、ゆん菜は笑顔になる。手足を伸ばして振り回した。
ゆん菜の体にぴったりの空間だった。
巣箱に入った小鳥の気分だ。
安心感がある。いつも怯える生活をしているから、こういう人の目に触れない場所は、心底なごむ。
ゆん菜は念入りに、周りに人の姿がないことを確認する。耳を澄まして物音も確かめると、いそいそと両手に霊力を集中させた。
ゆん菜は霊力の明かりを灯した。
右手で、ムーナサリア人の霊力の色で淡い黄色を出す。
左手は召喚者の霊力の色、青色にした。
狭い空間が、二色の光で満ちる。
美しさで、心がなごんだ。
やっぱり、召喚者の青はきれいだ。
この国、ムーナサリアの人が放つ霊力は、みな
召喚者の霊力は青色だ。
だが、召喚者の証である青い霊力は、人前では出せない。召喚者と知られたら追放だからだ。
だからゆん菜は青い霊力の色を、黄色に見せていた。優夜に教わった技だ。
悲しいことだと思う。
青と黄色。並べてみると、相性がいいのだ。
もし、街に淡い黄色だけてなく、青い霊力の光も灯っだら、きっともっときれいだろう。
そんな風に召喚者が虐げられなくなったら……。
ゆん菜はずっとぼんやりしていた。
やがて、鳥の歌にまじってなにかが聞こえてきた。人の声だ。
一瞬、王子たちの出現かと思う。
どきんと、ゆん菜は飛び上がりそうになった。
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