第2章 4話 村はずれの森で④

「ありがとう、マリーユナ。本当に助かります」


 礼状を預かると、シスターはほっとしたように息をついた。


「いいなあ、ユナ」


 エスミナが急に笑顔になる。


「いいなあ?」


「だって王子さまが……」


「え?」


「東の森にはね、このごろ王子さまが視察に来てるの。運が良ければ会えるかも」


 いきなりの言葉に、ゆん菜は耳がおかしくなったのかと思った。


「ごめん。もう一度」

「だから、ミシュアーナさまが来てるの」


 ミシュアーナ?!


 ゆん菜はむせ返った。


「こんな田舎に来るなんてよく考えたらふしぎだけど。なぜか最近、ミシュアーナよく視察に来ているんだって」


 今から行く森に王子? つま先から頭へと、震えが走った。


 メイメイがポケットから飛び出した。

 だが、攻撃対象を見つけらない。困り顔で辺りをうろうろした。


 そうだ、もしメイメイと王子が会ったら……。


 もし、王子に会ったら、わたしの恐怖にメイメイが反応してしまう。


 間違いなくメイメイは、王子を襲うだろう。

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