第2章 3話 村はずれの森で③

 ……本当に、なんでこんなことに。


 だいたい、なんで王族がこんな田舎の森に来るの?


 朝の教会でのことが思い出される。


 きっかけはシスターの言葉だった。


「マリーユナ、となり町にお使いに行ってくれませんか?」


 今日は教会の掃除をする日だった。


 エスミナと一緒に用具を取りに行こうとしていたとき、シスターに声をかけられた。


 せっかく清掃に来てくれたのに申し訳ないですがと、シスターは続けた。


「教会に届いた寄付の礼状を届けて欲しいのです。といっても、相手に直接届けるのではなく、まとめて町の教会に預けてくれればいいですから」


 ゆん菜は安心した。簡単な使いのようだ。


「あとは町のシスターが取り計らってくれますから。遠出にはマリーユナが適任なんです。召喚獣をもついているし、霊力も強いですから」


 村の東の森を抜けた先にある。往復半日はかかる。だか、シスターにはいつもお世話になっている。


 恩返しだと、ゆん菜はうなずいた。


 このときはまだ、森に王族が来ているとは知らなかった。

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