第1章 26話 月色の優夜②

「先輩ーっ」

「ゆん菜?」


「あのねー、今日はすごくつかれたの……」


 メイメイもポケットから飛び出す。優夜の首に抱きつくと、頬ずりした。


「うん。なんてなく予感がしたよ。ゆん菜が悲しんでいるような気がした」


「先輩ー」


「家に帰ろう、ゆん菜。あそこに行けばだいじょうぶだから」


 ……うん。


 うん。早く帰ろう。わたしと優夜先輩の家に。


 だんだんと辺りが薄暗くなってくる。


 雲に隠れていた月が現れた。坂を登る優夜の後ろで大きな月が輝く。


 月光を浴びて、優夜の薄い金の髪も月のように輝く。月色の髪が風に揺れる。大きな月と優夜の姿が重なる。


 月の光りを受けた彼は、辺りをほんのり照らすように美しかった。

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