第1章 24話 霊力の訓練③
「これが空間移動術です」
神父は品の良い微笑みを見せる。
「二つのグラスの空間を繋げて、物を移動するのです。まずは水から始めましょう。固形物は崩れてしまうことがありますから危険です」
……。でも、どうやって?
急にいわれても困る。ふしぎすぎて方法が想像ができない。
ゆん菜は問うように神父を振り返った。
「口で説明するものではありませんから。感覚が大事ですよ。見えない力、……霊力の流れを感じ、霊力を流して対象物を包み、思ったように動くようにイメージする」
「イ、イメージ……?」
「マリーユナは前半の授業で、水を簡単に出せたでしょう? 感覚で動いてください」
ゆん菜は目を閉じる。
霊力を流し、グラスの周りに集める。
流れる霊力に乗って、水が空間移動する様子を想像した。
ぴちゃんと澄んだ音が響いた。空のグラスの中で小さな水粒が現れて、雫が落ちて弾ける。
だが、それ以後はいくら霊力を放っても、空間移動は起こらなかった。成功したのは一滴だけだった。
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