第1章 23話 霊力の訓練②

「いらっしゃい。マリーユナ」


 集会室のドアを開けると、神父は微笑んだ。


「では、早速始めましょう。今日はユナが希望していた空間移動術を教えましょうか」


 え?!


「えっ、本当ですか?」


 喜々とするゆん菜に、神父も目を細める。


 空間移動術は、召喚術の基礎のような技だ。


 神父はサイドテーブルの前に立つ。グラスが二つ用意してあった。


「まず、私が見本を見せます。グラスの水を空間移動させますよ」


 彼は静かな表情で目を閉じた。霊力を放つ。


 彼の霊力の出し方はいつも穏やかだ。微笑みながら、体に力を入れることなく霊力を放つ。


 グラスには、片方にだけ水が入っていた。

 

 その水がゆっくりと減っていく。もう片方のグラスの中に、きらきらした物が現れる。だんだんと大きくなり、透明な輝きを持つ。


 グラスの中で何かが揺らめき、内側から滑るように水が溜まっていく。


 すごいっ。


 ゆん菜はきらきら光るグラスに顔を近づけた。

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