第1章 17話 宮廷聖女と召喚術②

「あの、是非お願いします。聖女には憧れていたんです。推薦よろしくお願いします」


 必死に笑顔をつくった。


「見習いって、なにするんです? 神父さまが霊力を教えてくれるんですか?」


「違います。お城ですよ。募集をかけたのは王城です。宮廷聖女の育成が目的だそうですよ」


 宮廷聖女? お、お城?!


 ひいっと、ゆん菜の全身に悪寒が走る。


「王城で聖女の方を手伝いをしながら、勉強するのです。良き指導者ばかりでしょう。召喚獣の制御もすぐできるようになると思いますよ」


 きゅ、宮廷。ありえない。


 お城で暮らす王族は、召喚者を虐げている元凶じゃないか。


 恐怖が突き上げ、頭の中が真っ白になる。ゆん菜の手は勝手に動き、シスターから紙を奪って捨てようとした。


 同時にメイメイが目を三角にして、ポケットから飛び出す。紙を引っ張ると、ビリビリに破いた。


 空に向かって花びらのように散らしたあと、またポケットにもどった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る