第1章 12話 守護獣メイメイ②

 その制御ができないから、こんなに苦労しているのに。


 霊力の訓練は毎日している。


 メイメイとも毎日戯れ、信頼関係を築いている。


 一緒にお昼寝をし、撫で撫でをして。


 散歩に行って、同じおやつを食べる。

 駆けっこをして遊ぶ。


 おかげで、メイメイはすっかりゆん菜と優夜になついてくれた。

 お腹を見せて寝転がるし、顎や手を乗せてくる。それが召喚獣の親愛の印なのだそうだ。


 それでも無理なものは無理だ。だから、わたしはわるくない。


 ゆん菜は愚痴った。


 元はといえば、いきなりこっちに飛んできたボールがわるい。

 わたしは怖かった。メイメイは、わたしをかばってはボールをくわえた。


 ボールはやわらかい作りだったから半壊した。


 だから事故だ。……たぶん。

 

 だいたい、怯えて暮らす毎日じゃなかったら、メイメイだってむやみに攻撃しない。


 わるいのはこの国だ。


 いつ追放されるか分からない国にいたら、誰だって過剰防衛する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る