第1章 7話 家の外は怖いけど④

「今度こそ行ってきます」


 笑顔で手を振り、ドアを閉める。


 ドアは白い木製で壁も白塗りだ。赤い屋根の先端では風見鶏がくるくる回っている。外観もかわいらしい家だった。


 近くに家はない。周りは草原だ。綿毛が舞っていく。


 ゆん菜をは綿毛が舞うなだらかな坂を下った。

 ふわふわ綿毛の景色は、本当にきれいだ。


 異世界は自然が豊かで、どこを見ても美しい。


 もう、ゆん菜にとって、なくてはならないものだ。花と緑と青い空。こんな大好きな世界で居場所を見つけて、優夜とずっと暮らしていきたい。


 ゆん菜は立ち止まる。


 立ち止まって、来た道を振り返る。

 坂の上に優夜とゆん菜の家が見えた。


 心が春色に暖かくなった。ぽかぽかは体中に広がって、頬まで染める。


 優夜先輩……。


 大好きです。


 異世界の風景全部が、暖かい色になっている。草花も綿毛も空も、なにもかもが愛おしい。


 いつまでも、今のままでいられますように。


 ゆん菜は周りをぐるりと見回して願った。

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