第1章 4話 家の外は怖いけど①

「そろそろ行かなきゃ」


 ゆん菜はソファから立ちあがった。


 名残惜しいが、学校が始まる時間だ。


「わたし、がんはるね」


 勉強をがんばって、霊力を使いこなす。そうすれば、自分の身を守れるようになる。王族の迫害に勝てるかもしれない。


「ゆん菜は召喚者の中でも、霊力が強いほうなんだよ。自信を持ってがんばればだいじょうぶ」


 ムーナサリア国では、霊力を持っている人間が多い。ゆん菜がいた世界と全然ちがう、ふしぎな国だ。


 日常的に霊力が使われている。

 手を使わないで物を動かしたり、ふわふわ体を浮かせたり。霊力で怪我を治したり。ふしぎな景色でいっぱいだ。


 放たれた霊力は色を持っていて、かすかに光る。

 街の中でたまに光る霊力は、周りをほんのり染めて、とてもきれいだ。


 特に夜の霊力は、まるで灯のようだ。


 そんな世界のせいか、召喚者もムーナサリアに来ると霊力を持つようになる。


 ゆん菜は召喚後、自然と強い霊力が宿っていた。


 まだうまく制御できないが、防御術を勉強中だ。

 最終目標は召喚術だ。優夜がそれでゆん菜を呼んでくれたと聞いたときから憧れていた。


 召喚術があれば、ゆん菜も優夜を呼べるようになる。

 もしなにかがあったとき、優夜と互い召喚し合える。彼と離れないで済むのだ。

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