第1章 3話 異世界の小さな家③

 メイメイは、見た目はリスに似た異世界の動物だ。


 毛はふわふわで、白くて長い。特にしっぽの毛が長くで、床に引きずって歩くほどふわふわだ。


 生息地は森の奥深くで、人にはなかなか姿を見せない。少し霊力も持つ神秘的な動物で、森守獣もりまもりじゅうと呼ばれている。


 あまり人前に姿を現すことはないが、信頼できる人間と見たときは近づいてくる。


 優夜は森に通い、メイメイとゆっくりと信頼関係を築いた。霊力を与えることを代償として、守護獣の契約をした。


 メイメイはゆん菜の脚に飛びつき、肩まで駆け上がってくる。


 一緒にソファにすわると、ゆん菜と優夜に挟まるように潜り込んだ。ふわふわの毛は、とても柔らかい。


 平和だなあ。


 ゆん菜はソファにもたれた。なんだか、心がぽかぽかしてきた。


 毎朝、陽射しを浴びながら、窓際のソファに優夜やメイメイと並んですわる。


 大好きな時間だ。

 一日が始まる時間。ゆっくりと目が覚めて頭もはっきりしてくる、


 ゆん菜がわらいかけると優夜も笑顔を返してくる。


 幸せすぎて、ゆん菜はもう一度眠ってしまいそうになった。

 優夜がふざけるような仕草で、ゆん菜の肩を押した。


 ……優夜先輩。


 ねえ、優夜先輩。


 また逢えてよかった。 

 もう絶対離れない。ずっと一緒だよね……っ!


 湿っぽくなってしまうからいえない言葉を、心の中で告げた。


 ゆん菜はまた窓の外を見た。


 東北のほうに、高くそびえる山がある。


 どきりとして、ゆん菜は山から目をそらした。

山を越えたずっと向こうには王城があるからだ。


 お城のことを考えるといつもどきどきする。


 ムーナサリア国では、召喚者は疎まれている。その迫害の中心にいるのが王族だからだ。


 王族たちは、召喚者を排除する法律をどんどん増やしている。


 ……ずっと一緒だよね、優夜先輩。


 ゆん菜は繰り返した。

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