プロローグ 3話
「逢いたかったよ、ゆん菜」
聞き覚えのある声に、どきりとする。
声……。この声は……。
目を開けると、見えたのは地面に広がる魔法陣のような丸い輪だった。空に向かって光を放っている。
ゆん菜は陣の真ん中にいた。
「やっ、と……、逢えたね」
涙声のような声がして、ゆん菜の手が握りしめられる。
顔をあげると、優夜がいた。目に涙を浮かべて、ゆん菜を見ていた。
本当に息が止まるかと思った。
「どうして?」
優夜は目を細め、地面の陣を指差した。
「俺がね、自分の世界にゆん菜を呼んだんだよ。異世界召喚っていうんだ」
いつの間にか、周りの風景が変わっていた。中世ヨーロッパのような野山の風景が広がっている。
優夜の風貌も変わっているのに気づいた。髪は月色で、瞳は青だ。
「もう離さないよ、ゆん菜。この国で、俺と生きてくれる?」
うなずきたいが、体が動かない。
生きるよ、当たり前だよ……っ。
優夜が両腕を伸ばし、そっとゆん菜を包む。夜の優しさに、ゆん菜はもたれかかった。
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