第6話 言霊
木の上で寝るなんて、普通に日本で生活していたならあり得ない状況になかなか寝付けなかったり、体が痛んだりすると思ったが、翌日目が覚めた俺は、普通のベッドで寝た時よりも体の状態が良い気がした。
一度も目が覚めなかったしな。不思議なもんだ。
俺は木の下へ飛び下りる。結構な高さがあったが、全く問題なかった。
やばい...この身体万能すぎる...。
さて、本日から俺の異世界ライフが始まるってわけだが... これからどうしようかな?
今俺がいる場所がどこなのかもわからんし、元クラスメイト達がいるあの円形闘技場からどのくらい離れているのかも全くわからない。
今の時間は... わかるかもしれない。
太陽の動きが地球と同じだと仮定するなら、今はちょうど真上くらいの位置だから... まあだいたい正午くらいか。多分あっているだろう。
そんなに熟睡してたのか俺...。あんな木の上で熟睡できるなんて、もはや才能だな。みんなにどや顔で自慢したいくらいだ。・・・自慢するような友達イナイケドネ...。
ていうか、この森に飛ばされる前の久我とデュランの会話から推測するに、この森ってかなり危険な場所なのでは?
だって、「確実に生きて出られないようなところに飛ばせ」とか言ってなかったっけ??
でも、周りを見渡すに、日本にも存在しそうな至って平凡な森って感じなんだけど...。生き物の気配もしないし。
そもそも、この世界って本当に魔獣やら魔物やらって存在するのかな? 戦いにあふれた世界とは言ってたけど。
俺が寝ている間にそういった生き物がいたって可能性もあるが、如何せん俺は信じられないほど熟睡していたのだ。全くもって覚えていない。
まあ俺は魔族なんだから、この世界に魔族が存在するってのはまず間違いないだろう。魔族がいるならだいたい魔獣やら魔物やらもいるだろ。まあ知らんけど。
まあとにかく、危険な生き物がいる可能性は高めってわけだから、自分のステータスをしっかりと把握しておかないとな。
昨日は気づいたら夜だったからすべては把握しきれてないんだよな。
「『鑑定』」
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名前:飛山 恭弥
種族:魔族
言霊:独
称号:異世界人 特異存在
技能:ユニークスキル 天涯孤独
ユニークスキル 如意自在
創造スキル 鑑定
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昨日見たやつはいいとして、【
鑑定さん!解説よろ!
言霊:この世の全ての意思ある個体に宿る不可思議な力。
己に宿った言霊を顕現させる意思を持ち、声に出すと発現する。
意思ある個体に宿る、ね。
前世でいうと、人間にはもちろん意思ってのはあるが、そのへんで鳴いてる犬や猫、俺の天敵である虫なんかにも意思はあるのか?
ていうか、鑑定して言霊が宿っているかどうかで意思の有無を判断できるんじゃないか? そりゃ面白いな。俄然興味が沸いてきた。
それにしてもこの鑑定スキル、意思があるんじゃないかってくらい万能だな...。
「えーっと、俺の言霊は【
まさに俺にピッタリな言霊だなっ!!! ハハハ!! あっぱれあっぱれ!
言霊にも煽られてるのか俺は... もうやめて! 恭弥のライフはゼロよ!
コホン、俺の言霊の解説も見ておかないとなっ
言霊 【独】:独を極めし者は何ものにもとらわれない。
物理攻撃無効 状態異常攻撃無効 精神攻撃無効 [永続]
やばいんですけど。どんどんチートが更新されていくんですけど。
って、誰が独を極めし者や。やかましいわ。
いや、最後の[永続]ってなに? 一回発現したらそのまま効果が永遠に続くってこと?
バグかよ...。チートにもほどがあるだろ...。
でもまあ、せっかくチートを手に入れたんだ、ご厚意に甘えて利用させていただくとしよう。
よっしゃ発動!!
「【独】!!」
《個体:飛山 恭弥の言霊が発現しました。》
これで俺は物理攻撃やら状態異常攻撃やらを食らわなくなったってわけか?
いや、俺の身体で何かしらの変化があったってのは感覚的にわかるんだが、本当に無効化されるかどうかってのはわからんなあ。これは試す必要がありそうだなっ!
しかし、これの効果を試すには攻撃を食らう必要があるんだよな...。
運が良いのか悪いのかわからんが、この周辺は生き物の気配が全くないんだよな...。
攻撃してくるような生き物がいるのかもわからんし、これは前途多難だな。
まあ、テキトーにこの森を進んでれば何かしら出くわすだろ。
それに街なんかもあれば最高なんだがな。なんたって俺はこの世界についての情報が皆無に等しいのだよ。
この異世界ライフを楽しむためにはまずこの世界のことを知り尽くさんとな。
異世界に来たからにはこの世界を存分に楽しみたいんだ!
俺はこれからの未来に希望を抱きながら、歩みを始めた。
これがこれから世界中を震撼させる魔族、飛山恭弥の初動の日となるのだがそんなことを当の本人は全く知る由もかった。
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