第5話 賄が、美味しいんです!

そして、時は現在に戻り、ランチタイムの仕込み中。


「はいっ、沙羅ちゃん、今日の賄ねっ!」


「わ〜、マスター、ありがと〜っ!」


このバイトにした決め手が、賄付き!

モーニングシフトで一食、ランチシフトで一食、ケーキタイムまで入っていれば、お持ち帰りボックスいただけたりします。

3食、浮きます。


そのどれもが、美味しいの!

今日の賄メニューは、日替わりランチと同じ、カツカレー。モーニングタイムで残ったサラダ山盛り付き。

特別に、カツ2枚付!

実は、揚げすぎて端っこの方が焦げてしまったからのが有るからなんだけどっ。

まだ始めて一週間なのに、内緒の話だけど、色々な所が育ってしまって、体重がががっ!


実は、我が家はソコソコ貧しくて、高校生になってからは給食も無くなったから、いつもお腹をすかせていたんだ。

だから、お持ち帰りまで頂けると弟と妹にも美味しい賄いを分けられるから、泣けるほど嬉しかったりするんだ。


今、幸せ!


だから、食べ終わって、う〜んと唸りながら伸びをしたら、肩と胸まわりがキツかったりするんだ。

元々、ピッタリのサイズだったせいもあるんだろうけどね。


肩をさすりながら唸っていたら、


「あれ?沙羅ちゃん、どうしたの?何かあった?」


「マスター、実は、恥ずかしながら、お胸が育ったみたいで、ウェイトレスの制服がキツイのです。」


お胸をマスターに向けて突き出しながら、訴えてみます。


「……………………………………そう?」


マスター?これぐらいのアピールと話で、真っ赤にならないで下さい!

やった私が、恥ずかしくなるじゃぁないですか!


「わかった、友達の服飾屋さん、呼ぶから!」


あの、メイド服を始めとしたコスプレもどきの制服を用意した人か。

どんな人が来るんだろうか?


楽しみ〜!


ランチタイムが終わり、片付けの目処が付いたところで、


「沙羅ちゃん、友達来たから事務室まで行ってくれる?」


「は〜い、マスター、行ってきま〜す!」


手を洗い、アルコール消毒しっかりして、ペーパータオルで拭きながら、事務室をノックしてから入ると、


「こんにちは〜、貴方が沙羅さんね?作業着屋している小鳥遊たかなしで〜す、宜しくねっ!」


そこに居たのは、私と同じくらいちっちゃくて、細身の、美人女性さんだった。

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