第3話 なんで、有るんですか?

一昨日の、お話。


「……………………暇ですね?」


「……………………暇だな〜?」


今日は、朝一から、暇です。

もう、9時なのに、常連様一組だけ。

ご近所の、仲の良さそうな、老夫婦。


「……………………仲が良さそうですね?」


「……………………そうだよ〜、良いんだよ〜、羨ましいね〜、あんな夫婦に成りたいね〜?」


「……………………マスター?それって、もしかして、私にプロポーズですか?」


暫し、かたまった後、唖然とし、大きなお口を開けて、茹で蛸のように、真っ赤になって、池の鯉のようにお口をパクパクし始めたマスター。


可愛いと、思ってしまった。

……………………意識してしまうではないですか!


話題を、逸らさないと!


「……………………マスター!呼び込みでも、してみますか?駅前の繁盛店を見習って、メイドさんの格好でもして?」


「……………………ん、そうだね~、沙羅ちゃんが良ければ、やってみようか?」


……………………と、言う訳で、黒を基調としたメイド服を身に着け、即席で作ったメニューのチラシを手に、マスターの前でクルッと華麗に一廻り。

慣れないことは、するもんじゃないわね。

よろけてしまって、マスターに抱き抱えられてしまったじゃないですか!


「……………………マスター?なんで、メイド服が用意してあるんですか?」


話題を逸らさないと!私の心臓が、もう、持ちません!

ドキドキです!バクバクです!ハラハラします?


「ん〜、沙羅ちゃんのウェイトレス制服用意したのが同級生で、色んな種類を持ってきてくれてね、置いていったんだよね。」


だから、サイズが、私にピッタリなんですね?色んな種類が、まだ有るんですね!

怖いもの見たさで、着てみたかったりするんですけど!


「……………………マスター、説明、よ〜く、わかりましたから、そろそろ降ろして頂けませんか?」


いつの間にか、お姫様抱っこ、されてるし!




追記


後で見せてもらった置いていったという色々な制服は、うさ耳バニーや、バドワイザーと書いてあるのや、OL風のとか、私には口に出して表現で出来なさそうなのやら?未成年には、無理!

高校生には、もっと無理?!


その同級生さん、私に何をさせたかったんだろうか?

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