第2話 可愛いメイドさんなんて、いませんから!
9時45分。
ラストオーダーの時間。
準備中の札を持ち、扉を開けると、
「あの〜……………………」
やった〜、新規のお客様だ〜
「モーニングタイムは10時迄ですが、よろしければご利用下さい!」
精一杯の笑顔で、オ・モ・テ・ナ・シ!
「……………………いえ、お尋ねしたいことが……………………」
チッ、客じゃねーのか!
表情に出さないように気を付けながら、
「はいっ、私にわかる事でしたら!」
「あの〜、可愛いメイドさんのいる喫茶店は此処でしょうか?」
「違います。」
「……………………そうですか。お近くでそのような喫茶店をご存知ないですか?」
「知りません。存じません。解りません。見たくもありません!」
「……………………そうですか…………」
「そうですっ!」
「ありがとうございました。コーヒーを頂けますか?」
「マスター、モーニングお一人様〜」
やった〜、客だ〜!これで、今日の、私の時給ノルマ、クリアーっ!
カウンター席に、ご案内〜!
ホットコーヒーにハムサラダ、ゆで卵、厚切りトーストのモーニングセット。
トーストは2枚、マーガリンとジャムも付いてきます。ジャムは日替わりです。本日は、ブルーベリー!
たったの、五百円。
お勧めです。美味しいんだからね!
「お待たせしました〜、本当は10時までなんですけど、少しならオーバーしても大丈夫ですから〜」
常連さんが残っていると三十分位は平気でオーバーするから、これくらいは私の裁量の範囲内です!
カウンター奥に戻ると、
「沙羅ちゃん、入口でお客様と何話してたのかな?」
「……………………可愛いメイドさんのいる喫茶店が、このお店かどうかを聞かれました。」
「……………………それって、もしかして?」
「違うと思います。『可愛い』メイドさんの話ですから」
「一昨日の、あれじゃないのかな?」
「ぜぇったいに、違いますっ!」
違うんだからねっ!
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