幕間:意外と空気の読める男

「俺、沙織に告ろうと思うんだ」

「そうか。ラーメン、奢ってやるよ」

「フラれる前提で話を進めるな。…いや、成功するとも思わないけど」

「絶対無理だろ。だって、あの倉石さんだろ?無理無理」




 そして放課後。


 何やら2人で話している。


 あいつ、成功するとでも思ってんのかよ。


 お、あいつが振り返ったぞ。さあ、どうだ?


 あ、走り出した。やっぱり、失敗か。


 というか、そんなに悔しがるくらいなら、最初からするなよ…ん?


 あの顔…悔しいわけじゃないのか?


 よく考えたら、あいつ成功するとは思わない的な事言ってたよな。


 じゃあなんで走ってんだ?あんな泣きそうな顔で。


 付き合うことが目的じゃないのか?だとすると…


 この件は、あまり触れないほうがよさそうだ。



 そして、これを境に、2人は良く話すようになった。


 クラス中でも噂されていた。「あの2人、付き合ってるんじゃない?」って感じで。


 いやアイツら、フッたフラれたの関係だろ。


 なんでそう仲良くなれるのか。


 これが幼馴染の力…?


 とりあえず、ラーメンはアイツが食いたいって言いだすまで待とう。


 そうすりゃ、忘れてくれるかもだしな。


 いやだって、嫌だもん。


 あいつ絶対、誰かにおごってもらえる時はその店で一番高い料理を頼むタイプだろ。



********************



 そして、そこから数か月たって。


 事件は起きる。


 2人を引き裂く、凶悪な事件が。

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