第2話:告白から生まれるモノ
黙々と走り続いていると、見覚えのある景色が見えてきた。
いつの間にか家に着いていたようだ。
鍵を開け、中に入る。
俺の両親は共働きなので、夜まで帰ってこない。
ドアを閉め、鍵をしっかりとかけると、静寂が支配する空間を通り過ぎて自分の部屋へと向かった。
部屋のドアを閉めると、ドアにもたれかかった。
上を向く。真っ白で無機質な天井。見ても特に感情は湧いてこない。
さっきの青空と大違いだ。まるで、俺とあいつの心の対比を表しているようで。
「…くそったれが」
口に出してから気付く。心がモヤっとしたものに支配されていることに。
思えば今日は、ただ俺とあいつとの差を再認識させられただけだったのではないか。
告白する直前も、その直後も。そして、今も。
産まれた時からもうすでに差はついていた。じゃなきゃ、見た目がこうも違う理由がないじゃないか。
それでも俺は、ずっと頑張っていた。子供なりに努力していたのだ。
あいつについていけるように。あいつと一緒にいられるように。
だが、神は認めてくれなかった。現実は許容してくれなかった。
俺はただ、一緒にいたかっただけなのに。
見た目が違うだけで、扱いが変わるのはなんでなんだろうな。
そこまで考えて、俺は頭を振り、思考を強制的に中止させた。
そのまま、ベッドに倒れ込む。
なんでかって?そんなの、テメェが1番分かってんだろ。
努力が足りなかった。ただそれだけだ。
分かってんなら、答えてくれよ。
さっきから邪魔くさい、この感情は何だ?
嫉妬?殺意?全然違う。
これは…なんだ?
感じたことのない気持ちに包まれ、何もかも面倒くさくなり、睡魔に身を預けようとした、その時。
メッセージ音が静寂を突き破った。
…誰だ?俺がアドレス交換してるのは川口と両親と沙織だけだ。
とすると、お母さんかな。どうせまた晩飯は冷凍食品を食べとけって内容だろ。
面倒くさそうにスマホを見て、飛び込んできたのは1番あり得ないと真っ先に消した選択肢。
沙織からのLINEだった。
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