第7話言葉のあやと3つ目の人生

帰り道、雨が降っていた。

何十年ぶりの大雨だとさ。いつの基準か分からないのに。

ただ、ひとつ言えることは

今の俺は何にも負けない。いや、負けられない。

もう、心配をかけない為に。

あの人の背中を追いかける。

俺はもう止まれない。自分で選んだこの人生。

歩みを進めた限り、もう止まることは許されない。傘もささずに、家にたどり着く。

俺は家のドアノブを強く握り引き込んだ。

ガチャン!!強い音を鳴らしドアが閉まる。

手を洗い、冷凍ご飯をレンジに投げ入れる。

待っている間に、納豆をかき混ぜ、箸を添えて準備を完了。

レンジのチン!という音共に、融解したご飯を

手に取り机に置く。

テレビをつけたが、あのニュース番組はもう終わっていた。

チャンネルを回すと、昔家族と見ていたお笑い番組が流れてきた。

その日の夜は笑いに笑って終わった。

やっと、人間に戻れたんだ。

それから、情報共有を終えたあと、彼女と複数回あって調査を続けた。

しかし、全くと言っていいほど成果は上がらなかった。

けど、俺たちの周りには応援してくれる人、手伝ってくれる方が増えた。

SNSの日記で、調査の行動記録を公開していたからだ。俺たちの熱心な姿は社会に旋風を巻き起こした。そのおかげで、差別に対しての考え方も

多様化して言った。ある意味俺の目標は達成されていった。

ある日、いつも通り今日の調査の計画を立てるために、色んな人の意見を見ていた所、1つの意見を参考にする事にした。

1回意見を見直してみたらどうですか?整理することで、余計な部分や新たな視点により、発見がされるかもしれないですよ。というものだ。

盲点だった。新しい視点。意見の整理。

確かに、固定概念に踊らされながら一様な捜査しかしてこなかったのは、事実だった。

「意見の整理してみるか。俺からでいいか?」

「そうね。お願い。」

「俺は双子に出会ったんだ。そいつらは俺の差別やいじめに対する解決を共にしてくれたヒーローだ。まぁ、そいつらが赤星さんの息子、娘の霊だったって事を知らされたんだが。俺はこいつらが何故俺を助けたのかが知りたいのが1つ。

それともう1つは、俺が自殺未遂を行った時に、着いてくれた刑事のコネで、事件の現場の捜査を手伝った時、変な足跡を見つけて、この心中は他殺。真相がほかにあるって気づいたんだ。だから、その真相を知るのが2つ目。」

「そう。じゃあ、次は私ね。

 私はこないだ話した通りよ。

お父さんの元気を取り戻すために、雫やあかねと協力して佐藤さんにあって頼んだ。けど、佐藤さんを傷つけてしまう結果となった。そして、しばらく経って、自殺した。」

「今更だが、もう一度佐藤茂さんを訪ねてみるか?」

「何言ってるの?だから、自殺したんでしょ?」


「佐藤さん。」

「いや、生きてるだろ?俺実際に会ったんだぜ?あの双子と違って他の奴にも見えてるんだぜ?これで幽霊じゃおかしいぞ。」

「じゃあ佐藤さんの家族に聞いてみよっか。

 私、佐藤さんの事調べた時に知ったから。」

「どこら辺?」 

「ここから、2駅ぐらい。」

「意外に近いな。」

そして、俺たちは電車に駆け込み家にまでたどり着く。

インターホンを鳴らし、母親らしき人が迎え入れてくれた。そして、衝撃的な一言を放つ。

「あの子は行方不明になっていて、もう死亡したことになってます。」頭を鈍器で殴られたかと思った。

「なぜ自殺に?」

「先輩に見捨てられた。裏切られた。俺はもう無理だ。あいつを恨む。あいつが憎い。そう書かれた手紙を1枚の残し、失踪したからです。もうしばらく経ってますけどね。確か。」

「ありがとうございました!」

「他に何か?」

「いえ、もう大丈夫です。」

「頑張ってください。あの子のためにも。赤星さんはあの子にとって親友だった。簡単にあの子を傷つけることは難しいはず。そこまで、追いやった人が必ずいるはず。」

俺らは家から出た。

「俺は一体誰とあったんだ。」

「教授にもう一度聞いてみましょ?」

俺たちはすぐさま電話をかける。

「おおー、立花くん。佐藤くんから場所は聞けたか?」

「あの〜本当に佐藤さんと連絡を?」

「確かに、佐藤のメールアドレスから返信があったぞ。」

「本当ですか?なら、メールの文面送ってください。」

「いや……それは無理。」

 なぜ無理なんだ?教授の携帯はスクリーンショットが出来ないほど古くなかったはずだ。

「なぜ?そんなに機種古くないでしょう?」

「やり方がわからん。」

「では、私たちが教えてあげます。」

「分かった。どこまで知ってる。」

 ついに教授は吐いた。

「佐藤さんは行方不明で自殺したと処理されている。」

「そこまでバレちゃもう無理か。この際、白状するよ。済まない赤星。私は佐藤を殺した。」

「えっ……」

「お前が会ったのは演劇サークルのメンバー。事情を話して頼んだ。金を積んだら大人しく従ってくれたよ。加えてお前もすんなり騙されてくれたから助かったよ。」

「どうしてだ。」

「お前も所属していたサークルあるだろ?

 この大学は年々受験者の減少とともに、資金が不足していった。だから、サークルをひとつ無くさないと行けなくなったんだ。その時にサークルの中で1番人数の少なかった物になったんだよ。だから、お前の所属していたサークルを消そうとしたんだよ。屁理屈をでっち上げて。その為に、全員の成績を下げて、このサークルに入っている物は、勉学との両立が上手くいっていないって

アピールをしようと考えたんだ。」

だから、あのサークルに入ってから成績が少し下がっていたのか。

「その作業を見られちまったんだよ。佐藤に。

 それから佐藤に成績の事をあのサークルのヤツらに流してやろうか?噂になって、サークル以外にも広がって……その後はどうなるか頭の良い教授なら分かりますよね?って揺すられるようになった。その度に金を払ったりするようになった。」

 「私はそろそろ腸が煮えくり返りそうだった。

 それから、佐藤らは卒業していった。

 その時はもうスッキリよ。清々しかった。

 けど、その後佐藤が私に、連絡をして来た。

 赤星が、いじめにあってる。せっかく助けてやろうとしたのに、あいつは俺を信用しなかった。裏切ったんだよ。あいつは。

なぁ教授?俺の為にも赤星の為にも差別に悩んでるって警察に連絡しろ。報酬はまた会った時に渡してやる。って。

正直、警察に連絡する事は悪い事だとは思わなかった。赤星は明るく、家族のように大事にしていたから助けてやりたかったんだ。けど、佐藤は許せなかった。あいつと話して昔のことが蒸し返されてまた憎しみが生まれた。あいつはこの世にいるべきじゃない。だから、殺したいって。これは、チャンスだ。逃す訳には行かないって。

承諾したあと、警察に連絡した。確か、浜崎 武尊。特徴的な喋り方だったから覚えてる。

その後。赤星が自殺したって聞いた。それと同時期に佐藤からよくやった。金を払う。って、公園を指定された。それが赤星の家の近くだったのは後で知ったよ。

ただ、私は佐藤と会った時、怖くなってしまったんだ。殺人という重罪を犯すことに。

金をもらい、タイミングを完全に失ってしまったんだ。けど、あいつが赤星の悪口を言ってきたんだ。それも結構な量。流石に、俺の堪忍袋の緒は弾けて切れた。いや、爆発してしまったんじゃないかって思うほどに。

ナイフを取りだしあいつを刺した。何度も。何度も。何度も。

あいにく、昼過ぎでみんな仕事に行ってる時間、主婦なら買い物に行ってたんだろう。

人通りが無かったんだ。だから、 このまま行けば、隠蔽できるかもって。

血を水で近くの溝に流して、蓋をした。誰も見ないだろうって。後は死体の処理だ。流石に持てない。だから、ハナキリンが咲いた花壇のそばの長い草が茂った所に隠した。車を取りに行く間。それから、車で近くの川に行き死体を流した。

川だったら流れに乗って沖に流されてくれるんじゃないかって。ここまでが俺のした事。」

すると、黙っていた彼女は口を開いた。まるで、鬼が宿ったみたいに。

「赤星さんを苦しめたのはお前か。」

「勝手な想像で、他人を苦しめやがって。

 息子、娘の気持ちを考えた事があるか?

 親の様子が急に変化した時の子の気持ち。」

 すると、教授が心の底から絞り出した声で叫んだ。

「俺はあいつを助けるためにやったんだ。」

 その教授言葉を聞き、彼女は黙った。

「とにかく、私は自首します。」

「最後に刑事の特徴もらっていいか?」

「嫌味のような口調で話してきたり、皮肉を言ったり、基本は丁寧語で話すが、怒る時は口調が悪くなる。もういいな。」

 そして、電話は切れた。

「これが、事件の真相……?」

 彼女が萎れた花のような声で言った。

「いや、違う。まだ、残ってる。

 恐らく、もうそろそろ事件の全貌が見える。」

「何か外いつもより暗いね。」

「そうか、?俺には少し明るく見えるぞ。」

「対照的のようね。」

「あぁ……」

「今日は一旦帰りましょう。明日会いましょ。」

 俺は明日は事務所での作業、講演が無いことを確認すると、

「そうだな。」

 とだけ返事をして別れた。


帰って俺は事務所のみんなに

 明日は休む。すまない。急用ができた。と送信した。

事件についてですか?と、聞かれた。

まぁ、同志の集まりだから流石に気づくか。

「そうだ。」

「先輩頑張ってください!」

 幸せだなぁ。

 

 

 


 

 

 

 

 

 




 

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