第8話灯台下暗し
朝が来た。
赤星光さんの友人、佐藤茂さんが殺されていたことがわかりました。犯人は自首しており、林拓郎。教授にあたる人物だそうです。
俺たちは合流した。
「あなたは何に気づいてるの?」
「まぁ、少し経ったら分かるさ。」
俺は携帯で公園の花壇の所有者を調べた。
その後、俺はあのおじいさんを尋ねた。
いつものとおり彼は招き入れてくれた。
「今日はなんだい?」
「ちょっと尋ねたいことがありまして。」
「なんでも言ってごらん。」
「おじさんあの花壇の所有者なんだってな。」
「あ、あぁ。そうだともそれが何か?」
「俺気づいたんだ。ハナキリンって茎は緑なんだって。」
おじさんの表情が強ばった。なにかに恐れるように。
「そうかそれは良かったじゃないか。気づけて。」
「おじさん隠したでしょ。」
「何が言いたい。」
「ハナキリンの色自分で塗ったでしょ。」
「はは、バレた。そうだね。全部知ってたよ。」
「なぜ、通報しなかった。」
「1つは、報復が怖かった。2つ目は、犯人だって疑われてしまうのを恐れたから。恐らく彼は焦ってたから気づかなかったんだろうけど、俺には分かった。だから、通報してやろうかとも思ったよ?けど、怖かった。だからやめた。
しばらく経って手入れをする時、花に血がついてたことに気づいた。落ちなかったんだよどうしても。だから、偽装したかった。だから、家に持って帰って塗り替えた。」
「でも、相手は素人だろう?いくらなんでも警察じゃない限り特定なんて難しいんだから怖がらなくても良かっただろ?」
「何を言ってるんだ?殺したのは警察官だよ。あんたの隣にいた刑事だよ。気づいていなかったのか?」
「えっ……」
「流石に、犯人が前にいる中での聴取は怖かったし、正直家にも入れたくなかったよ。
殺されちゃうかもってね。
ごめんな。流石にあの状況で本当の事なんか話せなかったんだよ。君がコーヒーを殺してくれたおかげで俺はあの部屋から退散することが出来た。それは、感謝してるよ。」
「そんな……」
教授に最後まで騙されていた。
ただ、佐藤を殺した所までは本当だろう。それだけは分かる。
「ごめんな。立花くん。」
「あの、現場に立ち入ったのはあなたですか?足跡が変なものがあったんです。」
「それは、私では無いです。」
「俺はあなたを許さない。」
そう言った途端、俺の頭の中身が抜かれたようだった。
神崎に手を引かれ家の外へ連れられる。
「さようなら。」
その一言ともにドアが閉まる。
刑事さん。あなただったんですね。浜崎武尊さん。
「みーつけた。」
俺が言葉を漏らす。
彼女は絶句する。俺の事を気色悪がってるのが見え見えな表情で。
俺たちは、警察署を尋ねる。
浜崎武尊さんいらっしゃいますか?
「浜崎さんは今、いらっしゃらないです。」
「現場操作ですね。」
「えっ……ちょっと?」
なぜ分かったのか!?という表情で困惑する警官を裏目に駅に向かった。日が暮れる前に……と。
電車に駆け込み。駅に着く。
急いで現場に向かった。
そこには、作業員とともに、集会に集まる彼の姿。
「浜崎!」
浜崎は不敵な笑みを浮かべてこちらに振り向く。
「ふふふ。どうしました?」
「おまえだったんだな。」
「何がですか?」
小馬鹿にするような顔をした。
「赤星さん一家を殺したのは。」
「どうして?」
捜査員が驚きの表情と共に腕を掴み、抑え込む。
「証拠は出せないのでしょう?」
「ある人から聞いたんだよ。あんたが佐藤さんを殺したって。」
「ほう。一応あの教授に罪を被るように言っといたのですが。これはもう無駄のようですね。」
「足跡はお前か?何をしに行った。
放火して逃げる時に、バッチを落としたんですよ。現場監督という地位を使い、捜査が入る前にここに入って回収した。」
「はは。浜崎くん。何を言ってるんだ。君は誠実な人だろう。」
「そんな事はありませんよ。あなたの姿を見て警察官の使命を学びました。それのせいで殺人の動機が生まれてしまったのですが。」
「知ってると思いますが、赤星さんに連絡をしても、ひたすら応じて貰えなかった。自殺をされないように。助ける為に。警察官の使命を果たすために。けど、あの人は頼らずそのまま自殺した。
挙句の果てに赤星一家に散々責められましてね。あなたのせいで赤星さんは死んだって。
助ける為に。警察官として使命を全うしただけなのに。酷く警察官としてのプライドを傷つけられました。それと同時に、この使命を教えてくれたあなたをバカにされてるように感じました。
だから、殺しました。俺の憧れの人をバカにした罪を償わせたんですよ。罪の自覚はあっても反省はしないです。赤星さんはあなたの憧れの人でしたよね。けど、その人やその家族は私の憧れの存在を貶した。人情って難しいですよ。
担当した事件ではみんなそんなもんです。
大事な人や物を傷つけられた。けど、それって客観的に見れば簡単にわかるものではないんです。
みんながみんなそれを大事と思ってるかどうか分からない。だから、傷つけられる。そして、怒って事件の原因になる。全くふざけた話ですよ。」
俺はもう何も言い返せなかった。
的を得ている事に変わりは無い。
そして、その状況はまさに今の俺たちだったから。
刑事は連れられて行った。
俺はその後を見つめる事しか出来なかった。
彼女も俺も何も言わずに別れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます