第10話 トーナメント① 龍を従える女子

「これから実技計測のトーナメントを始める!ルールは殺しなし、試合後30分の休息、意識があるうちは試合を続行するだけだ!」

「エーブロックとビーブロックに分かれているが、まずはAブロックの決勝進出者が決定したのち、ビーブロックのトーナメントを開始する!」

「試合中のリタイアは認める」


この声だけはでかい先生はローセル先生。もう歳なのに本当に声がでかい。

先生の中では最弱だとうわさされてる。


「お前らの中の出来損ないは誰だ!?圧倒的な力を持つ最強は誰だ!?恥をかきたくないなら死ぬ気でやれ!!」


うるせーーーー黙れーーーーー


「それではマリウス先生!何か一言!」


「がんばれ。聞きたいことは聞きに来い。」


、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、


会場が凍り付く。温度差のせいか、それともマリウス先生の存在で畏怖しているのか。

マリウス。この人はブリューナクでも最強と言われている。

存在がもはや抑止力となっていて、他国が戦争を仕掛けたがらないのも彼のせい。

だがしかし、彼はとても無気力で、もし戦争となっても腰は重いだろう。

ちなみにかなり優しい感じがするが、目の奥には、何やら不穏な感じがする。

人が言うには、殺意やら、後悔やら、失望やら、十人十色の答えがある。


カノッサ先生は、、、特になし。


「それではさっそく第一試合!ケイルvsセフィム!」


「キャー!!キャー!!ケ・イ・ル!!!ぶっ飛ばせ!!ワンパン!!」

商店街のみんなは張り切りすぎだっつーの。旗まで作ってさ。

かなーり緊張してきたわ。一回戦負けはしたくないけど。まるでくじを引く感覚がする。



「フッフッフ。我の降誕バースを祝う民がこれほどいようとはな! おいそこの下郎! まずは貴様の存在を蹂躙し、この広場せいいきを支配しようぞ!」



ハイあほでかもだー ヨユーそー



「ん。コホンっ!それでは始める!!」


先手必勝!丸焦げなっとけ! と言ってファイヤーボールをセフィムに投げる。

だがしかし、


「顕現」 本を広げて言う。


現れた翼に防がれる。間違いない。あれはドラゴンだ! あんなものを使えるなんて、、、

「よく見ろ、感じろ、そして畏怖せよ!此の赤龍の前では万物は等しく無力!

さあ!灰になるか、炭になるか!選ばせてやろう!!」

そうしてセフィムを乗せ飛行し、口が赤く発光する。

考える余裕もなく、僕は岩影に飛び込む。その刹那


滅火ほろび!!!」





あたりが業火の赤い轟風に染まる、、、、、、、、、、

わけでもなく、70度くらいのお湯をかけられた感じしかしない。 困惑と安どに染まる。


のこのこ岩陰から出る。


「ほう。いまのを耐えきるとは。だが今の攻撃で聖なる守りも解けたみたいだな!これをくらえ!」


突っ込む暇もなく、ドラゴンが突っ込んでくる。当たったらまずいが、あのハンティングゲームの先生くらいの速度しか出てない。難なくかわす。


かわし際に火を放つが、防御されてしまう。こいつ、無駄に防御は固い!


「はーッはッは!愚か者!無意味な抵抗は虚しさしか残らんぞ!」


向こうは自分が圧倒してるかと思っているようなので、まだ攻撃は単調だ。この隙に考えを巡らせる

・上をたたき落とせればいいが、そう簡単にドラゴンはかいくぐれない。

・ここまで出力が低いなら、魔力は温存できてなく、ドラゴンさえどうにかすれば勝てる。

・あのバレットを打てば何とかなりそうだが、良くて魔力なしの殴り合い、悪いときは敗色濃厚。


、、、ドラゴンを何とかする。それには思い当たりがある。できる!



「おい、お前のドラゴンは張りぼてかな?岩すら壊せないのにかっこつけちゃってw 動かないでやるから攻撃当ててみろよww」


「ムキー!!私を愚弄したな!死ぬがよい!!」


安い挑発に乗ってくれ、また空へと昇る。また火をためている。そしてドラゴンの腹が丸見えだ。


「フレッド・スナイプ・!」


狭い範囲ににまとめた炎の弾が、ドラゴンの腹を焼く!


ギャオおおおお!!!   ドラゴンは腹を破り、火に包まれて場外に落ちる。血などが一切飛び散ってないのは、作り物だから?


「うぁぁぁぁ!って、「顕現」!イエティ!!」


ドラゴンから振り落とされたセフィムが魔法を使った。しかし、その生き物はセフィムが落ちてきた瞬間、消滅した。


ビンゴ。向こうはもう戦えるだけの魔力はほぼなく、こっちはファイアーボール5回分は残してある。ここからは近接を交え、隙を見て魔法を打とう。


「こんな、こんな下郎に、私とあろうものが負けるですって~!!!」


お互いに詰め、取っ組み合いをする。力を込めて投げたら簡単に吹き飛びやがった。


「ンッ、!汚らわしい!此の私に土をつけるな!」


「弱えー奴は泥んこになってなんぼなんだよ!!」


セフィムに馬乗りになり、ぼこすか殴る。ただ、あいつも魔導士だ。一筋縄では絶対に行かない。


「ガアァッ!!まだ終わるわけにはぁぁっ! 「禁断・顕現・!」トンカラトンッ!!」


馬乗りも振りほどき、見たこともない包帯の化け物も召喚してきた。

だけど。


「なぜ笑う!もうこいつが出ると、手は付けられないのだぞ!!」


根性で何とかなるさ。今回は。


右手にすべての魔力を込める。繰り出すのはあれだ。


「これでしまいよ!死んでも恨まないでね!! いけ!トンカラトン!!!」


刀が振り下ろされ、左肩にぐさりと食い込む!だが、そんなのは関係ない!!



「「炎焼拳!!!」」


化け物の体を突き破り、セフィムをとらえる!!! 


「オオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


「バッ、馬鹿な!」


「オラぁ!」


セフィムが壁に突き刺さった。あの化け物は腹に穴が開いてもまだ刀に力を込めていたが、すぐに消え去った。



「Aブロック第一試合!セフィムの気絶によりケイルの勝利!」


「「「ケ!・イ!・ル!  ケ!・イ!・ル!  ケ!・イ!・ル!  ワァァァァァァァァ!!!!」」」


僕が大きく背伸びをし、会場の声援が響く。ユードとフェリア、キュアンナも手を振っている。


「やったね!圧勝じゃん!」


「お、おめでとう。」


「いいところでいい根性見せるじゃん!」


しばらく手を振ってると


「ウーン、、 なんで君はあんなに強いの、、?」


「なんでって? ふーむ、、、 お金も使いまくるよりコツコツと使うほうがいい。

それと同じさ。」


「、、、フフッ よくわかんないよ。」



とりま1回戦負けは回避してよかったぜ! まあ2回戦はきついけど。
















・「顕現」

使用者 セフィム

分類 象形魔法 

物体(像、絵など)を媒体にして、自分に忠実な生き物に変える魔法。自分からある程度離れると、でくの坊と化す。

その生き物のデータ、詳細が準備できればできるほど、同じ魔力消費量でもより強力なものが出来上がる。

仮想の生き物も作成可能だが、魔力消費はとてつもなく増える。





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