第5話 試合に向けての特訓(1)

午前九時。4人とも集まり、ランカルジムに入る。

「よーし。じゃあ3人で総当たりの勝負しよっか!」

フェリアが張り切って言う。三日後には勝負するってのにいいのか?ここで見せたら対策されるのに、、って思考が頭に浮かんできたが、勝負と特訓をするためにここに来たんだから、ぐちぐちいうのはやめよう。

Aランク部屋と書いてあるチケットを買い、係員に案内される。部屋についたのち、

グーパーで分かれ、グーを出したケイルとフェリアが戦うこととなった。どうやらこの部屋は地形を自由に変更可能のようだ。

部屋内はブリューナク大広間と同じような地形にし、いざ勝負!


「いくよ。エレメント・バブル」


そういうと、フェリアから泡がわく。次の瞬間、直線をかなりのスピードで詰めてくる!

「素のフィジカル鍛えてるタイプか~だけどハスりはしたから不利ってはわけではないかな?」

サイドステップをしたが、いきなり腕を少し切った。後ろを振り向くと、ハイヒールが刺さった岩がひび割れていく。

どうやら彼女の攻撃は、自分の速さ+泡による慣性+足で撃つジャブの速さをかけて打ち出すスピード重視型らしい。しかし、自分の体よりも一回り大きい岩を砕けるほどのパワーも兼ね備えている。当たり所が悪いと負け、そうでなくともジリ貧。そう考え近距離戦を仕掛けることにした。しかし、すぐにニ発目がくる!


「生徒内トップ4の評価をもらってるんならこれくらいで動揺しないでね!」


次は半身だけ左にずらし、カウンターでナイフを置いておく。

さっきより深くいかれたが、全然許容範囲内だ。だがしかし、フェリアには傷一つない。今までフェリアのことはランキング表のことも含め、少し低く評価してたが、ここまでできるとは思ってもみなかった。

「泡ってナイフより硬いの?ナイフが滑ったんだけどさ?」

「ふっふーん。君の火力だと私の防御を突破できないみたいね♪」


どうやら体に薄く泡をまとっているようだ。足裏によく泡立てた石鹼の上で片足立ちをして、こけた時と同じ感じがするからだ。


なら密着してナイフの突きをぶちかますのが最適解!


「次は大ダメージ決めちゃうよ!」


前よりも速い速度で向かってくる。サイドステップもかなり厳しいかも。

ならば!


「直接的な動きだけならいくらでも対応できるんだよな~」

物凄く分厚く創造した鋼鉄の盾を構える。ガン!!!と大きな音を立てて、ハイヒールが盾に突き刺さる。しかし、貫いたり破壊するには至らない。


「ほお~これはいいね!でも、、、」

「どうせ魔法を活かして距離をとるんだろ?」

「クリエーション:バブル」


俺は魔法を作ることはものすごく苦手なのだが、頭に残っている魔法は小規模なら出せる。そして、泡で盾ごとフェリアを壁に押し付ける。


「やべ、、、」

「おっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!」


そこからは俺の独壇場だ!ナイフによる突きは、バブルごとフェリアの体を削る!


「あんまり、、、」


「私のこと、、、」


「舐めないでね!!!」


ナイフで突いた勢いを利用し、足元だけにバブルを生成し、体操選手みたいな動きでで空中を回転し、キックを放つ。とっさに前に出、ハイヒールの直撃は避けたが、馬鹿みたいに吹っ飛んだ。しかも、自分の足元には泡が発生しており、そのまま受け身をとる暇もなく壁に激突した。衝撃で口から少し血を吐いてしまった。

ケイルが俺を心配し、試合を終わらせるべきかどうかとおどおどしている。


「まあまあ、こんくらいならまだまだ余裕だよ?」


そう言ってケイルをなだめ、目の前のフェリアに集中する。


相手が近距離も強いなら、長所をつぶし、仕留めればいい!

だが、またフェリアが加速してくる。遠距離は間合いをつぶされ、近距離は致命的なキックを放つ。なら。



立体的に攻める!


足元にスプリングを生成し、跳躍する! 

そんなに高く飛べるわけではないが、別にいい。足をかわせる位置でいい。

カウンターも行ける位置。


1,5メートルくらい飛び、カウンター気味に顔をける!

空中でキックをし、しかも泡の上に着地したせいで派手にすっころんだが、フェリアはコントロールを失い壁にぶち当たり、しかも鼻も折れている。


「仮にもトップ4だしね?まだまだいかせてもらうよ?」


「クゥ~、、、これまずいわね、、、」


ほぼ勝ちを確信したその時


「でもトップ4ならまだまだ見せてもらわないとねぇ!!」


フェリアがにやけながら叫ぶ。今までの経験ではたぶん切り札を切ると予想される。

なら先に手を打つしかない。そう考えマシンガンを創る。フェリアよりも一手速い!

しかし


「アワールド!!!」


その技名に思わず呆れちゃったが、すぐに冷静が戻ってくる!

地面すべてが泡に覆われている。これでは攻撃も防御もままならない。視界を前に戻すも、間髪入れずにフェリアが回転蹴りを入れる!

俺はガードもでに回転の連打を受ける。苦し紛れに突くナイフも、離れた隙に打つマシンガンも当たらない。フェリアがいい表情で滑っている。どうやら彼女は勝ちを確信している。



「まあ切り札を先に切った時点で勝てるわけないんだけどね!」


そう言い、さっきの分厚い盾と、7本くらい纏めたダイナマイトを創り、ダイナマイトを天井まで力いっぱい投げる。

フェリアが泡で俺を拘束してないことを考えるに、泡は自分以外の魔力をもつものの周りには発生できないだろう!


「これぅてまずいまずいまずいやん!!!!」


フェリアが慌てて落下地点に入る。どうせライターで着火する前に泡で濡らして使い物にならないしようとしているのだろう。


俺はそんな甘いことはしない!反動がなく、泡の上でも使えてかつ、空中のダイナマイトに着火できるものといえば- - - - - - - - - - - - -






ケイルの炎魔法だ!


「エレメント・ファイアボール!」

ただでさえ小さかった火の玉よりもさらに小さいやつしか創れないが、今はこれでいい!


「!!!」

「これって、、!」


二人共驚いている。使えると思ってなかったのだろうか。

その様な驚愕をよそに、ダイナマイトの導火線に炎が引火した!


「わああああ!!!」


フェリアが急ぎで落下点から離れ、泡をまとう。 しかしもう遅い。

ダイナマイトは地面すれすれで爆発し、障害物も俺もフェリアも吹き飛ぶ!


「きゃぁああ!!」

「ぐふぇぇ、、」


フェリアよりも守りは硬かったはずだが、俺もマッハで飛んで行った。

飛んだ瞬間に背中にばねを創れればどれだけ速いスピードで壁にぶつ大したことはないのだが、

あいにくそんな器用なことは俺にはできない。 せいぜい背中を丸め頭を打たないようにすることが精一杯。

瞬間、背中に電撃が走る。地面に足はついたが、足がしびれうまく歩けない。

泡は全て吹き飛んでいるが、フェリアはどうなったのかわからない。

色々な可能性を考え、冷や汗が流れたがケイルとキュアンナの声で吹き飛んでいった。


「ユード~ 君の勝ちだよ!!!」

「はっ、、早くフェリアちゃん連れてきて、、、まずいから、、」


おぼつかない足でフェリアのもとに歩み、おんぶする。

彼女はやけどがひどく、気絶していた。きっとろくに受け身も取れなかったのだろう。

お前ら迎えに来いっつーの。と思いつつ、フェリアをおんぶしたまま階段を上る。

声が聞こえた。


「オマエ、、、遠慮もナシでダイナマイトなんかブチかましやがって、、、、火傷治りきらなかっ泡窒息でシバクぞ、、、」


水たまりができるくらい血が混じった冷や汗が流れ落ちた、、、


そうしてケイルとキュアンナのもとに行き、傷を癒してもらった。


キュアンナの魔法は、象形魔法に近いもので、唾を塗られた部分が回復できるといったものだった。

まじ汚い。 でもキュアンナがやけにおどおどしている理由がわかったし、少し申し訳ない気持ちになった。

フェリアを治すのにかなり時間を要するといってたので、ケイルと一緒に弁当と

飲み物を買うために一回外に出ることとなった。 ケイルに


「ケイルはフェリアに勝てる?」と聞いてみたら、ギリ行ける。って言ってた。

多分無理だともうけど、俺は決勝でケイルと戦いたいので、フェリアに勝てることを祈ろう。



つづく
















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