序章 「黎明期」と「転換期」

第1,2話 このお話の始まり、希望の黎明

ここは、魔法を使用できる人「魔導士」がいる世界オブサレ。

7つの国が牽制しあう中、1つの国、ビジーに大志を抱く少年が今、夢への一歩目を踏み出す、、、

この物語は、世界の運命に巻き込まれ、希望と絶望を味わう2人の物語。

だが、今はまだ、、、時間がある、、、


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



この世界には「魔導士」がいる。

いつからだろうか。どこが起源なのだろうか。そんなものは誰にも一切知る由はない。普通の人間と大差ない身体機能で、人間が科学をもってしても及ばない超常現象を起こす。太古から続いてきたその螺旋に、魅せられ生涯を魔法起源の研究に捧げる者もいた。魔導士のみで世界を牛耳れる可能性を見抜いた賢者たちは、世界を7つに分け、均衡を築いた。

しかし現代ではその考えは風化して、非魔導士たちは魔導士のことを「軍人」と考え、他国を攻め入るために使う「兵器」だと心の片隅にある。

その考えすら知る由ない子供が、戦争の連鎖を終わらせ、「」を出すのがこの物語。



「今日から学校か~。どんな人と会えるか楽しみだ!」

そう言って家から飛び出した一人の少年がいた。彼の名はケイル。今日から魔道軍士となるための訓練を積むために魔法学校ブリューナクに向かう。

…の前に、いつも行く商店街でおやつを買う。


「サリばあ~ラムネある?」


「あいよ。あんたホントにお菓子ばっかり買いに来るねえ~」

「あんたみたいなガキも今では魔導士見習いかぁ、、、私も頑張って変わらないといけないわね~。」


「へん!僕はすぐに魔道軍帥になってやるからね!見習いなんて言えるのも今のうちだよ!」


「あら!魔道軍にも入るの!?なら、もし他国の攻撃がこの国に来たら、真っ先にこの商店街を守ってねぇ。ケイちゃん。ほんとに国境が近いせいでいろいろ苦労してんだからさぁ。」


「わーったよサリばあ。ケツに火をつけて駆けつけてやるよ!」

魔法学校ブリューナク。それは、学校と言いながらも、次世代の軍人を育てることに重みを置いた学校。

3年に1回、魔導士の卵が個々の入学を志願して、魔法と魔力量を図る検査を突破して、それなりのお金があれば、ビジーという国に住む魔導士のみ入学が許可される。

ケイルの魔法は「火」。魔力量はぎりぎり落第点だが、殺傷力においては誰もが知る魔法。将来のビジーを担う子供として皆が応援する。

こう聞いてみれば聞こえはよいのかもしれないが、実際は我が子を送る非魔導士が声を上げて作らせたものである。

魔導士たちは生まれ持った魔法を自在に抑えたり開放するために訓練を幼い時から積む必要がある。特に火魔法なんかは暴発するとその被害は計り知れず…

勉学に勤しむ時間がないため、他の子より学力が低い。とにかく国を守るために軍事を整えるすべての国には、ごく一部なんかを除き落ちこぼれを食べさせる金なんかない。

ならば、この子たちは軍部に入る。親が必死に止めても、戸籍不要、衣、食、住、仲間、金がすべてそろう軍部に向けて家出した子も多い。

そうなれば親の元に帰るのは電報か無しか来ない。子供を失った親が集まり、怒りを述べてできたのがブリューナクというシステムなわけだ。

1年に1回を3年、魔法の腕が上がったかどうかの試験を通過すれば、単位を入手して次の年も入れるのだ。

だが、落第の印を押された生徒はどうなるのか?答えは簡単、軍部に逃げるのみ。

上役から見れば、形だけの制度で愚民が黙ること以上に都合がいいことはないのだ。

それでも、何も知らない子供は夢なんかも抱えながら行く。


「そうねぇ~ケイちゃん。でも、あんたが生きてないとだめだよ?」

その瞬間、あたりに警報がなる。しかもこの感覚…近くに何かいる…魔力を持つ他国の侵入者だ!

その侵入者は、魔法を使い商店街を食い荒らす。


「いけ、ウルフ」


一匹の狼が商店街を襲う!

震える足を抑えながら、声色だけは、いつもと変わらせずに伝える。


「もう実戦かよ、、、。守り切れないかもだから、サリばあやは逃げて!」

「ケイちゃん!逃げてもいいんだよ!まだあんたは―――」

そう、まだ自分の魔法を操ることのみしかしていなかった子供に、いきなり命をかける戦いをやれと言われても、到底無理な話である。


「僕がやらなきゃ…やらなきゃ何人やられると思ってる!」

ケイルは愚かな正義感で敵に向かう理由付けをして、自身を奮い立たせる。




「僕はこっちだ!野蛮人!」

「!?」

「エレメント」、「ファイアボール!」

 

オオカミに向けて火の球を打ったものの、あっけなく交わされてしまった。

命を奪う気で来る者、それに相対するは人を傷つけることすら初めての子供。

当然、差は開き、覆らない。

そして―――当然のように反撃が来る!


「お前おっせえなあ!噛めウルフ!」

まず―――









???「ナイフ」

直後、銀閃が走る。



「うおっと! いきなりえげつないやん!」


「あーあ。こんなに荒らして。いまは金に困ってないんだけどなぁ、、、とっとと買い物の続きしたいからさ、お前、逃げるか殺されるかして?]

「え、、、?」

目の前にはナイフを持った少年が突如現れていた。

どうやら僕は助かっていたらしいが、どこかの精肉店の息子か?

―――だとしたらすぐに避難させないとまずい!

「ちょっ、、きみ!危ないから―――」


足がすくみ、思うように声が出ない。

当然だ、今まで戦闘と真反対の世界のみで暮らしてきた子供、そんな子にさっき一瞬で死が隣に来たのだから。

だが、そんな僕のことなどお構いなしに敵と少年が動く!


「魔導士をダブルキルなんてウェネミで勲章もんだぜぇ!」

男はイカレタ顔で前に進む。

「そこのきみ。流石に守りながらやるのは難しいし早くどっか消えてよ」

「あ、、、うん。」


僕は言葉死の恐怖から反射的に逃げてしまい、身を隠して勝負を見届ける。

驚いたことに、その少年はナイフ一本でオオカミと互角に渡り合っていた。

しかし敵も殺しなれている。当然引き出しはまだあり、一筋縄ではいかない。


「2対1はいけるかなぁ?[ウルフクロー!]」


自身の魔力を手に纏わせ、それをかぎ爪に変化させ、手につけ、オオカミと戦う少年に接近する。

さすがに1本のナイフで二人の攻撃を防ぎきれるわけがなく、少年は後ろへと下がっていく。


「ひゃぁっ!!」

振り降ろされるは5本の銀閃。


「foo~アブねぇなぁ」

少年もバックステップでかわすが、胸には跡が残る。


少年に3本のかすり傷を付けたことで有利だと判断した敵は、オオカミととも一気にに襲いかかる!


しかし


「いてて。だけどこのクラスなら相当な金になるかもね~」

ダン!!!

なぜか銃声がなる。 少年の手をみると、ナイフを握っていた手は、銃を握っていた。

「カ,,,,カッ,,,,」

敵は何が起きたかわからないような顔をして、今にも死にかけている。

魔力であらかじめガードしていたようだが、明らかに頭に風穴があいている。


「おま、、、がいねん、、、か」

そういって、造ったオオカミの形が崩れ去ったと同時に、息絶えた。


おかしい、明らかにおかしい。この少年のスペックと魔法は明らかに釣り合っていない。

あれは武器を自由に生成できる魔法か、、、もしくは「創造」だ。

一撃で死にかけた自分が言うのはおかしいけど、なぜあれくらいの敵に傷を負ったのか、なぜこのビジーで有名となっていないではないのか、

「…さっきはあ…ありがとう。」

今聞きたいことは30以上あるが、真っ先に出た言葉は


「僕の名前はケイル!君も僕と一緒に魔法学校ブリューナクに行かない?君なら入学テストも合格できるよ!」


「は??」























???「ピティ様。送り出した殺人鬼の魔力は消えましたが…どうやら、彼を殺したのは軍隊ではなく、例の「創造」を持つ人間により殺されました。」

「そして、それは現在ブリューナクに通学予定の少年とともにブリューナクに向かっています。」



「あ~らら。向こうの魔道軍の魔法を解明して有利をとるつもりだったんだけどなぁ…」

「ま、あんな奴は死んでくれてよかったよ。じゃ、また大罪人ゴミどもを用意してくれ。」


「はっ。承知しました。」










「ふっふっふ…あいつが国側につくとはな…を口実にして攻めるもよし…賠償金をとれるとなおよし…。」



「楽しみだ…ビジーよ…!」



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