Code [USED HOPE]:000
あれから11年。ついにフリデスのクローンを作ることに成功した。
魂を溶かして作った溶液の中で、小さな命はうごめく。まあ、1か月で10歳くらいの大きさになるのだけどね。
名前は…USED HOPEからとってユードかな?
歪んだ魂が絵の具のように混ぜ合わさりできた「創世」は、フリデス王の死亡とともに資源にならなかったものは分解・霧散した。
今いるこの子には…「創造」が引き継がれている。
もともとフリデス王と最も親和性が高かったのは「創造」の魂。この結果は必然ともいえた。
キングダーズ王になったフォルネルズは、ずっといやいや言ってたものの、民にはしっかり優しくいているようだ。で、最近送られてきた魂を基にした魔法の調査によれば、フリデス王は「矢印」、「創造」、「縫合、融合、接続」、「操理」、「決意」
の5つの魔法を含んでいた。
それらはその子に回収させてもらう。
そして…今内乱が起き、荒れに荒れているビジーで、この子には生きてもらうようにしよう。
観察役として、今手が空いているグラックゥス兄弟にビジーの内乱を収めるついでに上の役職についてもらうとしよう。
◇
「ふぁ~あ。やったこともない王はしんどいぜ。でも…人をまとめてみて…改めておじさんの苦労が分かったっていうか…ううっ、、、帰りたくなってきたよ~…」
「まずはご苦労様。だけどね、残念なこと?にグラックゥス兄弟はこれからビジーに行くから事務作業とお掃除のお助けはできないわよ?」
「それに…帰るのは我慢して。私たちがいなくなったら…あの世界はどうなるの?」
「うん。…あっ、アンイェルディは?クローンは仕上がったんじゃ?」
「…あの子は今はそっとしてあげて。多分3番目に苦しんでいるから。」
「ちぇーっ。アセスタンはほんとアンイェルディのこと贔屓するんだから。
そんな好きなら死んじゃう前に告白しなよ?」
「―――ッ」
「ほ~れ。す~ぐに真っ赤になったぁ―――」
「もう!知らない!」
「ギャフッ! って…は?王宮にテレポートさせられてるし!」
「あ!王様!探してたんですよ?仕事がきついなら私たちも手伝いますから!」
「お、おう…」
「ありがとな。」
◇
溶液からまだ自我もないユードを取り出し、アンイェルディは優しく抱く。
慈悲と…謝罪の涙にまみれて。
「この世に作ってしまって…ごめんなさい…」
「僕たちのために生きることとなってしまって…ごめんなさい…」
「幸せに生きることができなくて…ごめんなさい…」
「これから…寂しくて痛い思いをさせてしまって…ごめんなさい…」
「死ぬこと以外なくて…ごめんなさい…」
ここからの物語は…誰かのための「創世録」である。
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