第6話 部室でのぷよぷよ合戦

「大学生らしくだらだらしましょう」

 ボルダリングサークル、練習も多いけど、大学生らしくダラダラもできる。今日は部室でぷよぷよ合戦。2年の桜さんは部で一番強いらしい。私は頭を使うことが苦手で、なかなか連鎖できない。

「パズルみたいなんだよ。私が言うのはなんだけど、ボルダリングにも活かせるかもよ」

 桜さんは、ボルダリングはあまりうまくないけど、ゲームみたいに楽しんでる。サークルだから上を目指さない楽しみ方もあるみたい。大会に出る人から、楽しみたい人、ダイエット目的の人とか、目的はたくさんある。

 私は、楽しみたいかな。コンペにも興味がある。目標は、とりあえず6級。

「あ」

 またぷよぷよで負けてしまった。

 ゲームを他の人にまわし、おしゃべりに入る。

「荒井くん、初段なんだってね。大会で上位に入りそう」

「ああ、裕太くんはボルダリングにふりきってるから」

 新入生の噂話に入った模様。

「平井くん、学ってい言うんだって? マジメだよね」

「学くんは少しマジメすぎるかな」

 女性陣でする噂話、新入生のことだから私も入りやすい。

 ボルダリングサークルでは女性は私含め4人。なぎさ、私、桜さん、神崎さん。神崎さんは4年。こうした女子トークでも、いきなり恋愛話にはなりにくい。私となぎさを気遣ってくれて、まずは新入生男子の噂話になる。

「今日男子少ないね」

 そう、部室に男子は現在2人。自主練かカラオケか。男性陣もぷよぷよに夢中だから、話をしやすい。

「吉田くん」

 吉田さんの名前が呼ばれて反応できずにいると、

「やっぱり未来ちゃん、吉田くんが気になってるんだ~」

 鋭い。

「あ、えっと、吉田さんは登り方がキレイなので」

 神崎さんがうなずく。

「そう、吉田くんは登り方がキレイ。部内でも一番。あれは見習った方がいいよ」

 よかった、ごまかせたかも。なんて安心していると、

「でも吉田くん、物腰柔らかいからモテるのよね」


 全然ごまかせない一日、今日も乗り切りましょう。

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