第3話 新入生が入った模様

「面白かった」


「これがガバ、持ちやすいでしょ。手をひっかけるように持って」

「はい」

「これがスローパー、持ちにくいけど、慣れたらさわれると思う。手のひらを使ってみて」

「はい」

 今日は大学の体育館。2年ほど前からボルダリング用の壁ができたらしい。結局新入生は私含め4人。部長の吉田さんが世話をしている。

 この前はラーメン屋に入った。あの場にいた10人全員でラーメンを食べて、新入生の私は無料だった。新入生が増えると、上級生の懐事情が気になるけど、今は考えないこととする。

「未来ちゃん聞いてる?」

「はい!」

 いけない、考え事をしてしまった。吉田部長、は言いにくいから、吉田さん。吉田さんの教え方はうまい。吉田さんの教え方で登ると、自分がすごく上達したように感じる。今の私は初心者向けの7級を登っている。

「未来ちゃんは今度のコンペ、出る?」

 コンペって何だろう? 2年の桜さんから話を聞いていると、新入生が話しに入ってきた。

「須田さんは未経験者だから、コンペとか分からないんじゃないですか?」


新入生、入ってきました。

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